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平家物語画帖
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作品名 | 平家物語画帖 (へいけものがたりがじょう ) |
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時代 | 江戸時代(17世紀) |
地域 国 | 日本 |
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分野 | 美術 |
員数 | 1帖 |
解 説
『平家物語』から場面を抜粋して、戦の場面を描いた図を中心にまとめ20図を1帖としている。詞書は添えられておらず、帖を開くと左頁に図、右頁に場面説明を記した短冊が貼付されている。図の貼り順は物語順と異なる。また6図と7図は題箋が入れ替わっていると思われる。20図目の短冊には土佐光起筆と記されているが検討を要する。
『平家物語』を題材とする扇面としては、「源平武者絵」(遠山記念館蔵、以下遠山本)、「平家物語図扇面」(徳川美術館蔵、以下徳川本)、「平家物語画帖」(根津美術館蔵、以下根津本)、「平家物語扇面画帖」(海の見える杜美術館蔵、以下海杜本)などが著名である。松原茂氏は根津本、徳川本、遠山本は同じ図様が含まれていることから同一工房作の可能性を指摘されている。本作は20図と残される図が少ないものの、上記3点と同じ場面を描いていても表現が異なる点が注目される。
例えば、平重盛が父清盛を諫める「教訓状」では、根津本、遠山本は屋敷の門前で対峙する重盛と清盛を描くのに対し、本作は屋敷内で着座して対話する図となっている。海杜本では、本作と同じく屋内で清盛と重盛が対面するが、根津本、徳川本、遠山本ほどに構図の類似性は認められない。
「老馬」の中で鷲尾三郎と面会する場面を描く図では、根津本、遠山本は起立する義経と右隣に武蔵坊弁慶が控え、猟師と熊王(鷲尾三郎)に面会している。本作では床几に腰掛ける義経と膝を屈し控える武蔵坊弁慶の間に熊王と猟師が座る。
以上のように根津本、遠山本が同構図で描く場面において本作の図では違いが見られ、モチーフで充満させる画面構成や力強い筆致、他の作品に含まれていない場面が存在することなどからも本作は根津本や遠山本とは別の作者、工房によるものと判断できる。