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山王霊験記絵巻
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指定 | 重要文化財 |
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作品名 | 山王霊験記絵巻 (さんのうれいげんきえまき ) |
時代 | 室町時代 |
地域 国 | 日本 |
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分野 | 美術 |
員数 | 二巻 |
サイズ | 上巻32.4×1214.0cm 下巻32.4×1095.3cm |
解 説
日吉神社(滋賀県大津市)の祭神である山王権現の霊験を、叡山僧侶の伝記を通して述べたもので、山門僧伝の別称もある。上・下二巻、それぞれが詞書、絵とも六段づつからなり、書体や画風の類似などから、頴川美術館本(一巻)、延暦寺本(一巻)とともに、本来一具をなしていたものとされ、当初の巻の順序や筋は、『山王絵詞(さんのうえことば)』(原本は正和三年・1314ころ成立。現状は十四巻であるが、もとは十五巻か)によって知れる。詞書は寄合書(数名の合作)になるため、段により書体は異なる。絵は一話に一図ないし三図描かれ、時間経過や場面展開は、胡粉で縁取られた群青の雲(霞か)によって示される。景物を交えて情趣的な場面を構築するのではなく、背景を素地のままに残し、樹木や山並みなどの点景描写は極力筆を省いて、各話柄の中心人物に視点を据え、霊験の直接的な描写に徹している点が特徴的である。やや高い視点からの俯瞰的な構図、土坡や岩の漢画的手法、人物の柔和な表情などは、鎌倉末から室町時代にかけて制作された絵巻に見られる表現法である。下巻末尾には「寛文三年(1663) 五月廿三日」の年記をともなう狩野探幽(1602〜1674)による極書があり、それによれば桂離宮の建造にも尽力した加賀藩家老今枝近義(1614〜1679)が先祖供養のため蓮華寺(京都市)を再興し、本絵巻を寄進したことが明らかになる。