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玻璃描画 扇面図鼻煙壺

作品名 玻璃描画 扇面図鼻煙壺
(はりびょうが せんめんずびえんこ )
時代
地域 国 中国
分野 美術
員数 一口
サイズ 高7.9cm  

解 説

嗅ぎたばこがはじめて中国へ伝わったのは明時代17世紀、マテオ・リッチなどイタリアの宣教師たちによったと言われている。清時代には宮廷、貴族やがて一般へと急速にひろがり、素材・細工・意匠に工夫をこらした嗅ぎたばこ容れ、鼻煙壺が数々作られた。鼻煙壺の容量はごく小さく、口も数ミリほどの大きさである。蓋には耳かきに似た小さな匙とコルクの栓がついており、この匙で嗅ぎたばこを取り出して吸引する。コルク栓と小さい口の形とは嗅ぎたばこの香りが抜けるのを防ぐための用意であり、そのために、象牙などで作った漏斗が使われた。この漏斗のほかにも、吸引・調合のための皿、貯蔵のための容器と、嗜好品の常で、さまぎまな小道具がしつらえられた。鼻煙壺そのものも美しいもの、珍しいもの、新奇なもの、高価なもの、ありとあらゆる素材が使われ、持ち主の趣味が開陳される。最も好まれたのは玉・貴石の類で、翡翠・青玉・白玉・緑松石・瑪瑙・琥珀などがあり、次いでガラスが好まれた。玉もガラスも色や斑紋とともに彫りの優劣が競われ、それぞれの手触りも楽しみの一部であった。層を重ねたガラスの塊を彫る清朝の手法とは別に、小さな透明ガラスの内側に山水花鳥などの絵を描いたものもあり、それはそれで名手と言われた人達の名が伝わっている。陶磁と琺瑯にもすぐれた鼻煙壺があり、青花・五彩・琺瑯彩を駆使した陶磁器には技の見本帳といった感がある。清時代の趣味の世界を映して興味深いのは葫蘆(ひょうたん)製の鼻煙壺であろう。小さな品種の瓢箪を型の中で生育させて思いどおりの形を得る、その工夫と手間のかけかたは清朝の工芸を象徴していると言えよう。嗅ぎたばこは、タバコの葉や茎を細かな粉末にして香料(薔薇油など多種多様)を加えたもので、個人の嗜好に応じた調合がなされた。上流社会では嗅ぎたばこの箱、鼻煙壺はともに贈答品とされ、中国では皇帝から臣下への下賜品としても作られた。

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