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青銅鍍金 鹿形鉤

作品名 青銅鍍金 鹿形鉤
(せいどうときん しかがたこう )
時代 戦国〜前漢
地域 国 中国
分野 美術
員数 一点
サイズ 長4.1cm

解 説

 鉤首(フック部分)と柄がねじれた形をした特殊な鉤である。鉤首には帯鉤の通例である獣頭や鳥頭の表現がなく、鉤首から柄にかけて中央に筋が彫られている。さらにその筋には枝状の筋が付けられている。柄の下部には雲気のような鰭状の飾りが施されている。このねじれた形の鉤首・柄は、鉤面の鹿(?)の角に見立てられたものなのかもしれない。鹿はうずくまり、振り向く姿で表されている。この姿の鹿はオルドス青銅器の文様によく見られるものだが、その一方で顔の細かな作り、胴の渦文のような文様、柄の雲気のような飾りなどは、中国の伝統的な表現である。少なくとも造形の精緻さの点で、技術の進んだ中国の中央文化に基づく製作であることはたしかであろう。このねじれたような鉤首の形態は、掛けたものが外れ難くするための用を果たしていたと思われる。そして横位置にして左右に力のかかる帯留めに使うには不向きな形である。鉤首を上にして鉤面の鹿文が正位置になることから、文様を活かすのであれば、鉤首を下向きにして佩を吊る用途にもあわないことになる。文様の向きと用途との関係は明確ではなく、形状からのみの推測は慎重にすべきであるが、柄を上にして用いた特殊な用途があったのではなかろうか。襟留めの可能性も考えられよう。(江川淑夫氏寄贈品)

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