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響銅 胡人獣文杯
作品名 | 響銅 胡人獣文杯 (きょうどう こじんじゅうもんはい ) |
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時代 | 隋〜唐 |
地域 国 | 中国 |
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分野 | 美術 |
員数 | 一口 |
サイズ | 高9.1cm 口径12.8cm |
解 説
表面に文様が刻まれた響銅製の杯。口部は外に反り、胴部はたっぷりと深く作られている。圏足は内傾した形で側面がわずかに湾曲している。作品の現状は大きな傷みは見られないが、口部が楕円形にゆがんでいる。響銅特有の淡い黄色の金属色が見られる一方、各所に錆が点在し口部や胴部には黒色に変色した箇所がある。黒色は酸化によるものと思われ、中国の響銅器ではよく見られる現象で器表面が真っ黒になっている作例もある。表面には響銅器特有の轆轤による整形で現れる横方向の研磨痕が残っている。外側面と口部の内側に線刻による文様が刻まれている。口部内側には短い線刻を縦方向に連ねて半円形を描く文様が並ぶ。口部外側には二重螺旋状の文様と半パルメット文が一周している。胴部には大きな円形を六個配し、その中に胡人、獣、植物文が刻まれている。文様の描画には、二種の線刻があり人物や獣、パルメット文などは蹴り彫りといわれる短い楔形の線をつなぐようにして線を作り出しており、文様の区画をする横方向の弦文や六個の大きな円形は切れ目のない線で表している。響銅器には具象的な文様を施した作品は少なく、これだけの文様が表されている作品は珍しい。近時、岡村秀典氏、廣川守氏、向井佑介氏による本品の成分分析がなされ、銅80%、錫20%弱という結果が出ている(「六世紀のソグド系響銅」『史林』九五巻三号)。