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風流六歌仙 在原業平

作品名 風流六歌仙 在原業平
(ふうりゅうろっかせん ありわらのなりひら )
作者名 鈴木春信(すずきはるのぶ)
時代 江戸時代
地域 国 日本
分野 美術
員数 一枚
サイズ 28.8×22.0cm

解 説

空には上弦の月が浮かび、岸辺の桜は大きく花を開いている。頬杖をついて外を眺める若い女。手から下がった煙管が、その場に物憂げな雰囲気を添える。雲型の中に「風流六歌仙 在原業平」として「月やあらぬ春やむかしのはるならん わがみひとつは元の身にして」と書かれている。これは『伊勢物語』第四段「西の対」で業平が詠んだ和歌で、去られた恋人を慕う内容である。月と桜は、幸せな去年を思い出させ、反省を促す重要なモティーフとわかる。物語では主人公は男であるが、本作では女に換えて美人画としても鑑賞できるような図柄になっている。女を業平に見立て、新たな伊勢物語を創造している。濡れ縁に置かれた花瓶の桜は幹から切り離され、もはや新しく再生することはできない。その桜と同じように、時間が止まってしまった女の境遇を花瓶に活けられた桜によって示す機智を読み取ることもできる。女性の帯や壁などに空摺りの手法によって凹凸が付けられ、贅沢な仕上がりになっている点も春信の作品の見どころとなっている。

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