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青銅 蓬莱図方鏡
指定 | 重要文化財 |
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作品名 | 青銅 蓬莱図方鏡 (せいどう ほうらいずほうきょう ) |
時代 | 室町 |
地域 国 | 日本 |
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分野 | 美術 |
員数 | 一面 |
サイズ | 16.7×15.1cm |
解 説
方形の鏡は、古くは中国・戦国時代に始まり、唐時代に再び行われる。日本でもそれをうけて奈良時代以降、少数ながら遺例があるが、本鏡はそれらの方鏡中でもすぐれて精緻の作である。縁の内側面には型材を刃物で切って成した造型の痕(型材中の粒子のよれ)がそのまま鋳出されている。
図は鎌倉、室町時代の工芸意匠として広く取り上げられた蓬莱山を表す。日本の図柄にも中国の古典の記述(『楚辞』)をそのままとって、大亀が仙山を背に載せて海中に浮かぶ様を描いたものもあるが、松、ときにその他の瑞樹をそえた海辺の岩山と、鶴、亀、を一図にして蓬莱山を表し、磯辺の景色の雰囲気をもたせた吉祥とすることが多い。手前の岩に甲羅を見せる亀の背に花文が表されているのは、蜀紅錦など奈良時代以来の花菱亀甲文の印象を再び亀の背に写したものであろう。岩山には松のほかに槇と竹が描かれている。これらは当時の絵画の主題とかかわるものであり、竹葉の一片一片をやや幅広にして脈をはっきりと表すのは、同時期の蒔絵に通じる筆法である。
水波の表現は鎌倉時代以来数々あるが、ここでは一つの波の峰と裾とで波紋を彫る篦の方向を切り反らして立体的にうねりを表そうとする。
平安時代の瑞花文八稜鏡は、なお、白銅質の地金を用いて作られるが、その後の和鏡の多くは、黄味を帯びた材質となる。本鏡はなお白銅色の地金を用いて作られ、こまやかで鮮明な鋳上がりとともに、特に意を用いた作であることがわかる。