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青磁 鳳凰耳花生 銘「万声」

指定 国宝
作品名 青磁 鳳凰耳花生 銘「万声」
(せいじ ほうおうみみはないけ めい「ばんせい」 )
時代 南宋
地域 国 中国
分野 美術
員数 一口
サイズ 高30.8cm 口径10.8cm 

解 説

本品は、釉薬と胎土および器形の特徴から南宋時代の龍泉窯で作られたと考えられる。宋時代には中国各地に青磁を焼く窯が存在し、それぞれに特色のある青磁を生産していたが、龍泉窯は最も盛んに活動を展開した窯の一つであった。南宋時代の龍泉窯青磁の特色であるやわらかい艶のある淡い青緑色は、厚みのある釉薬とその下地となっている灰色がかった胎土から生じている。特に、焼成時に発生する微細な気泡が釉薬の中に密に留まっていることが、半透明の色調を出す元となっている。また、たっぷり釉薬のかかった肩、胎土が白っぽく透けて見えている口縁先端や鳳凰形の耳の凸線部分など、釉薬の厚さ、薄さが単色の中に濃淡のアクセントをつけている。南宋時代から元時代にかけて龍泉窯の青磁は大量に生産され、本品のような瓶のほか、香炉、碗、壷、文房具などが作られている。それらは中国国内だけでなく海外に輸出され、日本でも寺院などで用いられたほか茶器としても賞玩されてきた。徳川家光、東福門院と伝わり、江戸時代以降、毘沙門堂(京都)に伝来した。また「万声」という銘(器物につけられる愛称的固有名詞)は、「擣月千声又万声」という詩句から、陽明文庫(京都)所蔵青磁鳳凰耳花生銘「千声」(重要文化財)とともに江戸時代に後西天皇によって名付けられたことが『槐記』(18世紀の随筆)の記事により知ることができる。

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