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響銅 水注

作品名 響銅 水注
(きょうどう すいちゅう )
時代 北宋〜南宋
地域 国 中国
分野 美術
員数 一口
サイズ 高19.2cm

解 説

 響銅は、銅80%、錫20%の成分比率をもつ銅合金で、南北朝時代から唐時代にはこの素材による器が飲食器を主として作られている。この水注は成分分析がなされていないが、響銅器の製作技法の特徴である轆轤挽きによる整形によって生じる表面の研磨痕は、響銅製の可能性を示している。南北朝時代、唐時代の響銅器の存在は比較的知られているのに対し、宋時代以降の響銅器についてはこれまで意識されてこなかったこともあり、この水注は貴重な遺例といえる。本体を轆轤整形した後、注口、取っ手、蓋は別作りしたものを接合して仕上げている。注口と取っ手の下端は鑞付けをし、取っ手の上端と蓋の鈕は鋲留めをしている。蓋は口部に蝶番で取り付け開閉できるようになっている。底部は圏足がなく、平底に作られており、同心円状の轆轤挽き整形の痕が残っている。唐時代の水注は注口が短く直線的な作りであったが、宋時代になると注口は長く湾曲した形態になる。鎌倉時代より見られる信貴形と呼称される水注は、本器のような水注をもとに日本で製作されるようになったのであろう。

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