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銀 人物図五花形暖盤

作品名 銀 人物図五花形暖盤
(ぎん じんぶつずごかがただんばん )
時代
地域 国 中国
分野 美術
員数 一口
サイズ 高13.7cm 口径15.6cm 

解 説

唐時代には簪や耳飾りのような装身具は勿論のこと、香炉、馬具、化粧道具など、さまぎまに銀が使われた。なかでも酒器、食器にはおびただしい量の銀が費やされ、高貴な人々の邸宅ばかりでなく、街巷の酒楼にまで銀器が備えられていたという。そのきらびやかに華やいだ様子は詩文に記され、当時の宮廷や貴族の宴席を写した絵画にもくわしく見ることができる。しかし、唐時代に工芸の主流と言えるほど盛んであった銀器も、三彩、白磁など同時代の陶磁にくらべるとおどろくほど遺品が少ない。なお貴重な素材であり、鋳潰して再利用できる銀器は墳墓に副葬されることがなく、目にすることができるのは隠し埋められたままに忘れられた遺品だけというのがその理由である。唐時代の宴では、酒は胡瓶と呼ばれた西アジア式の瓶か、把手付きの水差し形の瓶に容れて供された。なかには暖めて飲まれた酒もあったようで、唐末〜宋時代の画中にはこれと同じ形の器に酒注ぎを入れて卓上に置いた描写がある。中に熟い湯がたたえられて保温の用を果たした器で、暖盤あるいは暖碗と呼ばれた。遺品には青磁、白磁など宋時代の陶磁器が多いが、これはそれらより早く、唐時代末の銀製の例として貴重である。五弁形は唐時代晩期の銀器、陶磁器、漆器にひろがった形式で、器脚に刻まれた翻る蓮の葉の意匠も晩唐期の銀器に多用されたものである。側面に鏨彫りされた人物図や雲鶴文ときわめて近い描写が、近年発掘調査された陝西省の法門寺塔の地宮から出土した銀器にも認められ、唐時代、咸通年間(860−74)ころの作であろうと堆定できる。

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