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時代不同歌合絵 断簡

作品名 時代不同歌合絵 断簡
(じだいふどううたあわせえ だんかん )
時代 鎌倉時代
地域 国 日本
分野 美術
員数 一幅
サイズ 30.3×50.5cm

解 説

左右に分かれて歌を詠み、優劣を競う歌合の制に則り、趣向として時代の異なる詠人の歌を競い合わせたものを時代不同歌合という。ここにいう時代不同歌合は後鳥羽院(1180~1239) の御撰とされ、左に古今・後撰・拾遺など、右に後拾遺・金葉・新古今などから、百人の歌各三首、計三百首を撰び、合わせる歌の組(番)により、五十番、百五十番の二種類に分類される。さらに詠人の画像を添えたものを時代不同歌合絵と呼び、現存する作品は鎌倉後期から室町時代のものが多く、そのほとんどが零本または断簡で伝わる。歌合絵は左右の詠人を対置させ、各々の歌を明示するなど、歌合の形式をふまえて描くことに重点が置かれ、詠人の風貌を重視するいわゆる歌仙絵とは性格を異にする。本図は百五十番歌合のうち、一番柿本人磨・大納言経信から七十五番蝉丸・能因法師までを一巻とした歌合絵の断簡で、その五十五番から五十七番までにあたる。絵は白描で、吟詠する姿にとらえ、やまと絵の没個性的な引目鉤鼻とは異なり、個性を表出しようとする顔貌表現に鎌倉時代の似絵(写実的な描写の人物画)に近い作風が認められる。本来は敬愛の対象である詠人が現実味をおびて描かれているのもそうした作風のせいであろう。左方の凡河内躬恒(おうしこうちのみつね)は平安前期の人で、『古今和歌集』の撰者の一人。右方の紫式部は平安中期の人で、一条天皇の中宮彰子に仕えた。『源氏物語』『紫式部日記』などの著作のほか、歌集として『紫式部集』などがあり、中古三十六歌仙に選ばれるなど歌人としての評価も高い。

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