世界図

解 説

ネーデルラントの地図黄金期は、1570年にアントウェルペンの地図製作者アブラハム・オルテリウスが編集・出版した地図帳『世界の舞台』(Theatrum Orbis Terrarum)によって幕を開ける。本図はこの地図帳に収められた内の一葉で、版の特徴から1587年にフランスで製作されたバージョンであることがわかる。『世界の舞台』は初版発行時からその美しさが広く称賛を受け、さまざまな言語に改訂されヨーロッパ各地で版を重ねて製作された。この地図の初版である1570年のオランダ版のものと比較すると、本図では南アメリカ大陸の先端がやや細く、現代の我々が知る地図に近い形に修正されており、同じ地図でも版を重ねるごとに新しい情報が盛り込まれていたことがわかる。